雑談(STAXの話、音決めなど)
先日のSTAXの記事はうちのような泡沫ブログにしてはアクセス数が伸びたので驚いた。
もうヘッドフォンオーディオはやらないと思うから、新しい情報は知らないが、同社のヘッドフォンの代表といえば、Λ系といわれる楕円型ユニットの製品となる。何種類もあるが、時代によってキャラクターが異なる。
静電型だから、ドライバーとセットでキャラクターが作られるため、評価の難しい部分もあるが、旧スタックス工業の時代からすると大分変ったと思う。
何が異なるかというと、同社はマーケティングからダイナミック型と静電型を対比させて静電型の優位性を説くスタイルだった。
創業者世代は静電型のメリットを前面に押し出すスタイルで独自性を発揮し、一定のポジションを保っていたが、体力以上の拡大戦略が裏目に出て企業としてリセットされた。
その後引き継いだ人たちはかなりそこを意識していて、ヘッドフォン専業として、そのヘッドフォンも静電型の弱点に向き合う姿勢を持つようになったと思う。
つまり、低域の扱い方が変化したのですね。ヘッドフォンに限らず、スピーカーでも低域の扱い方は難しく、出せばよいわけではないが、出ないと満腹感が得られない。録音側も同じ問題を抱えていて、ある種生っぽい低域を録音、再生できたとしても、ユーザー宅では低域感が得られないということもあり、扱いが難しい。
低域は皮膚でも感じるものだから耳にしか信号を送ることが出来ないヘッドフォンでは猶更、低域感を得るのは難しい。
旧スタックス工業の製品では、低域感という満腹感を得るスタイルというものを否定していたと思う。静電型特有の冴え冴えとした繊細な中高域と合わせて痩せた腺病質な感じはあった。低域感というのはダイナミック型臭だとすら思っていたと思う。
この辺りの厳しい姿勢が同社らしいのだが、好き嫌いを生んでいた。ただ、当時の同社のヘッドフォンの性能は同業他社を出し抜いていた。
これは当時の同社のスピーカーのカタログのコピーだが、以下のような記述がある。
>>ELS-F81は, 大音量志向とPA感覚にマヒされた幻聴の世界から端正で鮮やかな音楽による心の世界に復帰することを目指して開発されました。
http://20cheaddatebase.web.fc2.com/LibSTAX/ST8403-10.pdf
本当にストイックです。だからユニークな製品も多かった。海外のハイエンドメーカーのノリそのものという感じで異彩を放っていた。創業者の人はJBLとかALTECが嫌いだったのかなというくらいだ。同社最後の頃に静電型のホーンスピーカーを出した話はまたそのうち。私も詳しい話は知りませんけど。
さて、新体制の有限会社スタックスになると、いきなり低域感が出てきたわけではないが、冴え冴えとしすぎた中高域については是正が図られたように思う。これはドライバー側の変化によるところが大きいかもしれない。
当時のフラッグシップはSR-007だったが、先代のSR-Ωと全く異なるバランスで登場したのもその表れだ。まあ、SRM-T2のようなドライバーを用意することが出来ない中で低域をきちんと出すためにユニット側で調整した気もなくはない。
わが国では肉厚な中低域の出方に驚いたが、西欧では受けが良かったようだ。地域によってニュートラルに感じるエネルギーバランスが変化する話は昔からのことである。
当時のΛ系のセット商品であるSRS-4040もある種のしなやかな中高域に少し弾む感じの中域を持たせて、冴え冴え感からの脱却を図ったように思える。構造上低域を出しにくいので高域方向から攻めてきた感じだ。
低域と高域はシーソー関係にあるといわれ、相対する帯域のバランスが変化するのでアプローチとしては悪くない。真空管のキャラクターも利用したことでしょう。
ただ、このころはエネルギーバランスと肌触りは異なるが音そのものは細かった。そういう意味でΛproを引き継いでいるように思えた。
ダイナミック型への対抗意識を前面に出してきたのはSR-404Limited、SR-507辺りくらいだろうか。音が細くてよく響くという感じは後退し、コントラストが強くなってきた。ケーブルの材質を変えてきたことも大きいかもしれない。
個人的には違和感を感じる部分もあり、今でもSRS-4040辺りのバランスが懐かしくも思える。
また、同時期のドライバユニットも音調がこれまで以上にはっきりとした感じに振られたように思える。
STAX スタックス イヤースピーカー SR-L700MK2
私がSTAX製品を使っていたのはこのころまでで、その後のSR-L700を聴いたことがあるが、コントラストを強めにした路線は維持されていたと思うので、今もそうなのでしょう。009や9000もその後聞いたが、さすがにこちらは本質的にエネルギーも出すことが出来るので、現行Λ系のようなコントラストを強めに出さなくともナチュラルにエネルギーを出すことが出来ているように思う。ただ、質感としてはサラッとした感じが前面に出ていて、静電型特有の濡れた感じは後退したように思う。
STAXについてはまた思いついたら書いてみます。
SRS-X1000 イヤースピーカー&ドライバーユニットセット(SR-X1 + SRM-270S) スタックス SRSX1000

