toriaudioの日記

オーディオ・ルームチューニング・SACD

雑談(デジタル小作人)

前にも書いたのですが、前ブログのアメブロではバックアップが取れないので、同じような記事をまた書きます。

 

デジタル小作人という言葉がある。IT系の巨大企業がアメリカに集中し、彼らの製品、サービスを使用しないと日常生活を維持することができないため、彼らへの支払いが必須のものとなり、巨額の国富が流出してしまう現象のことをいうわけだ。

少子高齢化で国力が落ちる中、この支払い負担が問題となってきた。

 

家電、自動車の輸出で外貨を稼ぐモデルが崩壊し、30年超経過し、自動車のみの片肺飛行となって久しい。素材や部品という向きもあるが、絶対的単価が安く付加価値に乏しい。最終商品が最も付加価値が積みあがっているのでこのポジションを落としたことが、昨今の暮らしにくさの原因の一つとなっている。

 

オーディオは家電崩壊の影響を最も受けたカテゴリーで、その背景として、音楽、映像の情報を扱う機材がIT機材に置き換えられてしまい、対抗できなかったことに尽きる。

音楽、映像のデジタル化自体は日本メーカーは先行し、その結晶がフィリップスとの共同ではあるがCDとなり、日本企業は大きな恩恵を受けたことは間違いないだろう。映像においても、アナログではあったがVHS等の下地があり、DVDまでは大きな恩恵を受けたと思う。

デジタル化自体は先行したものの、専用機を用いる手法そのものはアナログ時代そのものであり、信号だけをデジタル化したところが命取りになってしまった。

 

民生機だけではなく、特機においても、CDフォーマットとの連動でソニーの音響分野の特機は栄華を極めたが、DAWの登場で崩壊し、今ではマイクを細々と展開するまで落ちぶれてしまった。映像分野は一定のポジションはあるものの、編集機材が専用機からPCベースになっており、DAWの二の舞は踏まなかったものの、そのポジションを落としたように思う。

 

オーディオ分野における敗戦、小作人化の歴史は何だろう。

第一の敗戦がiPodiPhoneにゼネラルオーディオの主導権を奪われたところだろうか。

第二の敗戦がProToolsに主導権を奪われたところか。

第三の敗戦は何だろう。LINN、今ではAurender、Lumin、Eversoloに追い込まれたストリーマー分野か。

第四の敗戦は、ROONでしょうね。ストリーマーはとりあえず国内メーカーでも対抗機はあるが、この手のソフトは対抗作すら生まれなかった。

 

今後どうすればよいのか?

外貨を生み出す手段として、通貨安を逆手に取ったインバウンドなるものがあるが、インバウンド公害など新たな公害を引き起こし、サービス業のため、雇用の質などの面で問題を抱えながら、衰退日本の外貨獲得手段として一定の機能をしているが、オーディオ分野で生き残りを図ることができる分野は何だろう。

 

ヘッドフォンなどの音響変換系分野は、一定の競争力を持つブランドが存在している。とはいえ、ヘッドフォン、イヤホンもBluetoothノイズキャンセリングなどIT色が強くなっており、この辺りを含めて競争力を持つプレーヤーとなると限られるというか、ソニーしかないという心細い部分がある。

マイクロフォンもヘッドフォンと同じプレーヤーとなるが、定番は長期にわたり海外勢が強力なポジションを持つ中での展開となる。

 

スピーカーは国内メーカー自体が減少してしまい、その隙に欧米メーカーが中国生産による低価格化で国内メーカーのポジションを奪ってしまい再起不能に見える。

民生ハイエンドは事実上TADのみというお寒い状況で、ヤマハテクニクスの奮闘を期待したいが、厳しいように見える。

特機は昔から海外メーカーの天下でどうしようもない。

 

デジタル系に関してはCD系で落穂拾いするしかない感じだ。現実解として、ネットワーク系は他社アプリに依存してハードだけ作るような展開となっているが、その中でポジションを構築する以外方法がないように見える。

アプリだけではなくデジタル部分のハードごと供給を受ける感じの製品もあるが、仕方があるまい。残存するメーカーの体力ではこの辺りが限界なのでしょう。

 

アンプは数少ない明るい分野で、プリメイン、セパレート、AVアンプを含め一定のポジションが期待できる分野だが、スイッチング増幅については、デバイスが海外勢の独占状態に見え、デジタル機材と同じ轍を踏むリスクを抱えている。

AVアンプは一定の競争力があるものの、デジタル処理の部分が増えており、競合との差は少なくなっているように思える。

一歩間違えると、リニア増幅、リニア電源のハイエンド機だけで細々と生き残る展開になりうる分野といえる。

 

歴史的に見ても日本のオーディオは、デッキ、プレーヤーなど機構部分の優位性、コストパフォーマンスを商品力として、展開したために、アナログ機材と異なり、性能追及の上で機構部分のウェイトが下がってしまうデジタル化にとても弱く、この部分の克服ができないまま現在に至っているところがとてもつらいところである。

 

アナログブームといわれ、本来であればメカニズムの塊であるアナログプレーヤー周りは日本企業として提案できる部分も多いはずではあるが、体力のある大手筋が消えてしまい、極めて限定されたハイエンド分野で展開するのがやっとというように見える。チャンスを生かし切れていない。いくらブームといっても昔のようにDDプレーヤーを複数展開するだけのマスはなく、リスクが高いのでしょう。テクニクスもSP10と1200の枠からはみ出ない展開となっている。ネックはプレーヤーより、廉価なアームを作れないという話もある。

 

そういう中で、特に高級機に顕著だが、単純に需給関係でコストを転嫁して、払える客以外は足切りという戦略で延命するしかないのはつらいが、せめて、これまでのノウハウをきちんと整理して、次の世代に継げるように整えてもらいたいものである。