toriaudioの日記

オーディオ・ルームチューニング・SACD

雑談(鮮度感と劣化)

先日、TADとmogamiのケーブルがあまり変わらないとか問題発言をしましたが、

よく言われることで、業務用機の方がコスパが良いとか、ケーブルで音を調整するのではなく、イコライザでやればいいという議論があります。

DTMの普及で業務用機が身近になったから出てきたように思われますが、業務用機と民生機の間には暗くて深い谷があるように思います。

 

まず、こうなったのは先ほど言ったようにDTMの普及で、業務機材が身近になったことに加え、民生機側もプロ機神話なるものを作り、それをマーケティングに使ってきたものだから、こういう混乱が起きてしまったように思います。

 

業務機材といっても様々で、ビルの案内放送や消防設備と連動する非常放送も業務用だし、レコーディングスタジオで用いる録音機材やライブ会場で用いるSR機材も業務用で幅が広い。

民生業界も使えそうなものをつまみ食いで業務用機材から使ってきた歴史がある。ビルに取り付けられるようなスピーカーも使うし、SRスピーカーも使う。

船の船内放送用のものもありましたね。

ナローレンジですが、能率が高く真空管アンプビルダーと相性が良いところが使われてきた理由でしょう。ヴィンテージ的思考にもマッチした。

 

業務用がコスパが高いのは当然で、とはいえ、仕事で使うから高く作ることができるカテゴリーと仕事だから安く作る必要があるカテゴリーに分かれます。前者はハイエンドの録音用途で、後者は設備用途でしょう。

すべてが安いわけではない。また、ラックマウントが規格化されているためか、民生用高級機のように振動対策でシャーシを巨大化できないゆえにシンプルなシャーシを用いることで安上がりになっていることもあるでしょう。

基本的に使用環境がスタジオということで一般住宅に比べれば環境が均一で整備されているのでターゲットを想定した無駄のないつくりをすることもできるでしょう。

 

この辺りでコスパが高い理由が出てきます。

さて、イコライザを使わないというのはどうしてか。これは簡単で、エネルギーバランスより鮮度を重視するのが民生オーディオだからですね。

どうしても能動回路を通すと音が劣化する。受動回路なら劣化は少ないわけです。だからトランスとかケーブルとか、信号を通さないで音質変化が可能なインシュレーターとかになるわけです。

イコライザを含むエフェクター類は学習が必要で、本があっても録音のための操作方法であり、再生側に特化した使用法を学習できる機会はほとんどないのが大きいでしょう。

作るための機械である業務用と、出来上がったパッケージソフトの情報を損失無く伝えるのが民生用という違いもあり、思想面から電気補正にアレルギーがあります。

まあ、ノイズリダクションだって、RIAAだって、ステレオ放送だって、圧縮や変調はかかっていますが、スルーされてしまいます。

パッケージソフトが再生の出発点であり、その手前の制作側の話はどうにもならないと思っているからでしょう。リマスター盤がもてはやされますが、再生側にエフェクターを使うのはリマスターみたいなものなのでそこまで悪い話ではないが、そういう文化が形成されなかったから突然それをやれといっても無理なわけです。

室内音響の話にしても機材を通すことによる劣化の話は敏感ですが、エネルギーバランスが補正される視点で語る人が少ないのもその証拠かも。

音量が出せず、エネルギーバランスの確保が不十分な中で、細部を浮き上がらせたような鳴らし方が満足度が得られやすいという感じはあります。これでは海苔録音が増えるのも仕方がないかもしれない。