DENONのワンポイント録音
普段は欧州系高音質レーベルのSACDを聴くのが大好きなのだが、80年代後半から90年代のDENONレーベルの録音も好きで、よく聞いている。
日本コロムビアがかつて、ワンポイント録音のCDを発売していた。廃盤だが探せば出てくるレベル。
既発のメインマイクプラス補助マイクの録音のマスターから補助マイクのトラックを抜いてメインマイクだけのワンポイント録音のCDに仕立てたものである。
だから、通常のメインマイクプラス補助マイクの録音とメインマイクだけの録音を同一条件で聞き比べることができるわけだ。
今回は以下の盤の比較をしたい。
イタリア合奏団のヴィヴァルディバスーン協奏曲集である。
通常盤(メインプラス補助マイク):COCO-7528
ワンポイント盤:COCO-78875
どちらを基準にして比較をするかで感想が変わる部分があるのだが、
ワンポイント盤は音がとても静かですね。各楽器の定位もとても小さい。響きの消え際がとても美しい。
通常盤はこれに比較すると華やかで明瞭度が高い。補助マイクの意味を理解することができるが、ワンポイント盤に比べるとざわざわした感じは否めない。整っていないというか。音がきれいにフェードアウトして消えてゆかず、跳ね上がっていく感じがある。
定位も細部がボケている。
マルチチャンネル録音の弊害がこれなのでしょう。
とはいえ、通常盤でもこの録音自体は優秀録音として評価されるレベルであって、これがダメというと世の中のほとんどの録音がアウトになってしまう。
当然のことながら、いくらクラシックでもすべての録音をワンポイントで製作するのは困難であるし、ある程度割り切らないといけないわけだが、録音の時点で失われるものが相当あるのだなということがわかるし、システムの音で録音の占める割合が案外大きいことも理解できる。
録音手法による音の違いを体験できる機会がとても少ないのもオーディオの話をするとこじれる理由の一つで、ソフトもハードも同一条件での比較ができる機会がほとんどない。
ソフトもハードも、使いこなしもすべて積みあがったものがそのシステムの音なので、近視眼的な議論でわかったふりをする人がとても多い中で、このソフトをぜひ聞いてほしいなあと思った。
後、今の日本コロムビアももう少し頑張ってほしいですねぇ。当時のイタリア合奏団やインバルみたいに音もよくて売り上げもでかいというのはなかなか望めないのでしょうが。ハードとソフトが分離したのでそういう動機もなくなってしまったのでしょう。